医学部出たのに医者じゃないの?と、きかれますが

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 ところで、よく、医学部出たのに医者じゃないの? と、きかれます。医者じゃないです。医学部も出てないのです。わたしが出たのは医学研究科の大学院で、医師になるには医学部を出て医師国家試験に受からないといけないので、違うのです。大学院というのは、学部卒業して(または同等の資格を持って)、受け入れ先の研究室が受け入れを了承して、院試に受かれば、出身学部に関わらず入れるようになっています。
 じゃあなんでわざわざ、理学部化学科から医学研究科に行ったかというと(しかも九大から京大へ行ったのだけど、それはひとまず置いといて)、ヒトの研究がしたかったから。

 化学が好きで、理学部化学科に入ったのはいいけれど、自分の興味はヒトから離れられなかった。自分が書いた物語の主人公のように、こんな研究がしたいという強いビジョンを持って大学を選べばよかったのだけど、当時のわたしは、場所や偏差値だけで大学を選んで、キャンパスライフというものに浮かれて、ふわふわと過ごしていた(主人公と大違いです。反省しています)。だから、研究室を選ぶ3年生の終わりになって初めて、自分の行きたいところがない、進路もあまり考えてなかったと愕然としてしまった。
 その化学科に、変わった研究室が1つだけあった。先生があと2年で退官してしまうからそのまま院には進めないし、1人の研究室だから学生も1人しか受け入れられない。それでもよければという条件で受け入れてもらった。そこは統合失調症(昔は精神分裂病と呼ばれていました)について研究する研究室だった。医学部の先生と共同研究をしていて、わたしは医学研究科の研究室で実験をしていた。
 その後、ヒトの精神の病気について研究を続けたくて、研究室を探すとやはり医学研究科にたどりついた。通常は医学部は6年間なので、大学院は博士課程から始まるのだけど、わたしが進みたいのは修士課程。そんな他学部出身の学生を修士として院に迎え入れようというシステムが、当時は東大・京大・阪大くらいしかなかった。医学研究科医科学修士、というのがまだまだ実験的に始まったばかりの時代。
 もともと京大行きたくて落ちて九大に入ったので、迷わず京大を選んだ。
 院試を受けることになって、初めて「生物」の勉強をした。高校のときは物理化学を選択していたから、高校生物で習う当たり前のことも全然知らなくて、何を読んでも面白くて感動の嵐だった。何で高校のときに生物をやらなかったかといえば、顕微鏡の実習がうまくできなくて生物という科目が嫌いになってしまったから。(でも、大学院では顕微鏡を使った実験ばかりしてたのだけど。人生分からないものです)
 そんなわけで大学院から京都に来ました。院ではアルツハイマー病について研究をしていました。
 研究と小説、二足のわらじを履くつもりでやってきたのだけど、どちらも甘くないと気付いたのが博士課程も終わりに近づいたとき。二足どころか一足も必死でやらなきゃ難しい。
 ほんと、つくづく、自分のモラトリアムっぷりが嫌になってしまう。あまり自慢できる人生じゃない。高校の理系か文系かの選択では、医学部でお医者さんとか儲かりそうだなーと思って物理化学の教科を選択して、京大出身とかかっこいいなーと思って京大目指して(落ちて)、学生の間に作家デビューしたいなと思ってたのにいつまでもデビューできず、まあ、普通に働くことだってやろうと思えばできるしと思って、見栄張って有名企業ばかり受けたら最終面接で片っ端から落とされ(たぶん、小説家デビューしたらやめてやるなんて思ってるのが見破られたのだと思う。落として正解)、博士が終わるそのときに、ようやく厳しい現実と向き合った。現実に向き合ったというよりは、小説家になりたいという自分に向き合ったというほうが正しいか。14歳のときから小説家になりたいって思ってたのに、一体何やってるんだろうな、わたしは。
 小説家になりたいという思いに向かうどころか、小説家になるということを免罪符にして、ふらふらと適当な人生を歩んでいた。
 振り返ると、本当にいろんな人に迷惑をかけながら、我がままな人生を送ってきた。石投げられても仕方ないけど。石投げられながら、さらに我がままに生きていく覚悟は出来たので、書いてみました。このあちこちに拡散したこのエネルギーを小説だけに費やしたら、どこへ行けるだろうか。

 などという話を急に始めたのは、Facebookに自分のページを作って、プロフィールやら今までの活動やらを振り返っていたからでした。

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