リセット

 何か新しいものを作るとき、たぶん簡単に言えば、こんな工程に分かれるんじゃないでしょうか。
1)アイデアを考える
2)試行錯誤してアイデアを形にする試作品を作る
3)試作品を製品に仕上げていく
 わたしが小説を書くときもこんな感じです。3の段階では何をやればいいのかが分かっているから、根性と時間だけの勝負。パソコンの前に貼りついて、延々と文章と格闘する。2のときもアイデアは決まった!という安心感があるから、あとはそれをどうやって小説で表現するのかだけ。1箇所でじっとしていると発想や視野が狭くなって死んだ文章になってしまうから、歩き回って頭を切り替えつつ、カフェや家やらファーストフード店やら公園のベンチやらを転々と移動しながら、少しずつ書いていく。
 もっとも恐い段階は1のとき。いつアイデアが出てくるか分からない。どうやったら出るのかも分からない。でも、締め切りはやってくる。じりじりとモンスターに追い詰められるみたいになる。大丈夫、前回も書けたんだから今回も書けるはずと自分に言い聞かせながら、かといってあまりにも気を抜きすぎるといつまで経ってもアイデアは出てこないから安心もできず、生きた心地がしない思いで、ふらふらさまよってます。恐い、もうできないかもしれない、という思いばかりでいっぱいになって、集中できないときもある。そんなときにジョギングと料理が、不安でいっぱいの頭をリセットしてくれる。走ることは外から体をつくることで、料理は中から体をつくること。生き物として生きていることを思い出させてくれる行為。しかも無心になれる。リセットされたあとは、新しい発想が湧いてきたりする。
 というわけで、前置きは長くなったけど、最近料理が楽しいです(これが言いたかったんだ!)。ネット上に投稿されたレシピをiPhoneで見て、作ってみて、何て簡単でおいしいんだ!と感動してる日々です。まあ、それだけが唯一の楽しみというか…。スーパーで食材を買うのだとしても、買い物ってストレス解消になるよなあと思います。野菜が10円安いだけで幸せになっちゃうんだよな。