地震 (京都にて)

 ちょうど感情が高ぶるシーンを書き終わったあとだった。体がゆっくりと揺れた。ぐわんぐわんと回る、めまいのような揺れだった。わたしが揺れているのだろうか。それとも家が? 天井からつりさがった照明もゆらゆらと揺れていた。古い家だから、とりあえず玄関の引き戸を開けて、退路だけは確保しておく。じきに揺れは収まった。ツイッターを見ると、宮城で震度7の大地震だった。東京も大変な様子だった。大丈夫? と遠く離れた友達からメールが来たけれど、京都は、ほとんど地震の影響はなかった。大丈夫。
 テレビを見ていたら、画面の片隅に死者70人と表示されていた。押し流される車、倒壊した建物、避難している住民、同じ映像が繰り返し映される。ふと見ると、死者の数字が90人になっていた。そして、そろそろ消そうと思ったときには、200人以上となっていた。ほんの数十分の間の変化に呆然とした。まだまだ増え続けるのだろう。
 わたしはわたしのやるべきことをやらねば、と思うのに、なかなか集中できない。笑ったり楽しんだり、生死に関係ない小説と言うものを書いていることが何だか不謹慎なようで後ろめたい。自分が何ができるかを考えて、行動しようと思います。