次の小説講座

 次回の洛翠舎での小説講座は4月9日(土)の13:45-15:15に決まりました。京大楽友会館2階の会議室6で行います。1000円。定員15名。少人数でアットホームにやりますので、お気軽にどうぞ。小説家志望の仲間が欲しいなって人も歓迎ですよ。時間が許せば終わった後はみんなでお茶でも。
 内容はこれから考えます。小説しかしてない日々の真っ只中の講座です。きっとほとばしってるはず、何かが。小説に関してだけは、いくらでも自分の言葉で話すことができるよ。お申し込みは洛翠舎のサイトからどうぞ。
 今日の午前中に、難しいシーンをようやく脱稿した。何パターンも書いては没にして、決まってからも1文1文、本当に悩んだ。セリフや動作を何度も何度も書き直した。こんなに悩むのは、わたしがまだ彼らのことを見えていないせい。でも、今までの「見えていない」とは深度が全然違う。こんなに深く潜る物語を書けていることを、とても幸福に思う。
 自分が書いている物語なのに、そこに出てくる登場人物のことを、わたしはまだよく知らない。彼らがわたしの中に生まれたときが、わたしと彼らの初対面の瞬間で、そこから先は書かないと彼らを知ることができない。彼らのことが分かりたくて分かりたくて毎日毎日そのことばかり考えて、書いてみては違和感を覚えて、また書き直す。そんな繰り返しの中で、ある日、これが正解というものが書けるときがある。それは彼らが「本当の言葉」をしゃべった瞬間。ああ、これでようやく分かった、と嬉しくなる。それは、誰かと心が通じたときの感動に似ている。
 人前で取り繕う彼らじゃなくて、自分ひとりになったときの彼ら、ですらなくて、本人が気づいていない、もしくは無意識に押し隠していることも含めた彼らの本当に迫りたい。そのためにはわたしが、そこまで降りる必要がある。裸になる、どころか体が裏返されて内臓がむき出しになるような思いがする。でも、通じ合ったときの嬉しさで、その苦しさや苦労の何もかも吹き飛んでしまう。
 何をしているのだろう、わたしは、と、ふと思うときがある。小説って一体なんだろう。とりあえず、毎日、楽しいよ。

 このシーンを読んでもらうのは、もう少し先ですが。いつも感想や応援ありがとうございます。編集部に寄せてもらった感想は、編集者さんがわたしのところに送ってくれます。そして編集部ブログでも紹介されますよ。

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(※掲載終了しました)