言葉を展示する

 今日は、ちらりとブックファースト梅田店へ。展示を見に来てくれた方が書き残してくれたメッセージが置手紙のようであたたかくて嬉しかった。
 ブックファースト梅田店のリビングカフェはひっそりとした明るい素敵な空間なので、その雰囲気を壊さない展示を考えました。静かに本を読むように、展示の文字と写真に向き合ってもらえたらいいな、と。同世代の女の子から実感としてよく分かるとか前よりも身近に感じたという感想をもらって嬉しかった。何度も読んだという感想ももらった。
 作家デビューして1年経った。30歳になった。友人や恩師が亡くなった。友達が次々結婚して子供を生んで新しい人生を歩んでいっている。そんなわたしの今この瞬間を切り取った、気負わない言葉たちです。残り9日。よかったらぜひ、あの場所で読んでみて下さい。→詳細
 展示が終わったらウェブに載せようと思います。
 ところで展示の文字を担当してくれた坂上彰哲さんとは、小説講座で知り合いました。書をやっていて、こんな作品も書くし(右から「宇宙」と書いてある)、

 相手の注文やイメージに合わせて字を書いて名刺を作ったりもしているそうで。
→詳細こちら
 出会ってすぐだったのですが、ぜひ一緒に展示してくださいと無茶ぶりしてお願いしてしまいました。
 小説が好きな人以外にも小説の魅力を届けたい。別にわたしの小説じゃなくてもいいんだ。小説というものが面白いんだということを届けたい。本は手に取られるまで喋れないけれど、本の中以外でも小説の言葉に出会ってもらえたら、もっといろんな人に小説の魅力が伝わるんじゃないかなと思っていた。だから展示はぴったりの手段だったのだけど、活字を壁に貼ることに違和感があった。町を歩いても駅を歩いても、見て見て!ほら!ほら!って宣伝文句や警告がうるさくて、わたしたちは自然にそれらを見てみぬ振りすることに慣れてしまった。自動音声のお姉さんの声って何度聞いても頭に入ってこないけど、それと同じで。
 2009年に初めて言葉を展示したときは、その違和感に悩んで試行錯誤した末、昔の活版印刷の文字を写真で撮って一文字ずつ画像的に切り抜いて並べるということをしてみました。これは展示じゃなくてポストカードだけども。

 で、5月の個展のときは、ギャラリーが独立していたので、カフェの雰囲気を壊さないようになんてことは考えず、徹底的に壁を文字で覆い尽くした。小説が壁を占領するイメージ。

 今回はどうしようかなと思っていたところに出会ってしまったんですよ、彼と。淡々と日常の気負わない言葉。雄弁すぎない、でも温度のある文字。そんなイメージをかなえてくれました。今回の展示で一番大変だったのは彼だったのでした。わたし詩人じゃないから言葉長いしね。6作品もあるしね。

 さてさて、まだ大学4回生という若き彼は、これから字を作る人として仕事をしていくそうです。若い感性でいろんな字を書ける書家さん。何かお仕事のご用命、ぴんと来た方は、ひとまず
 akihiro.sakagami★gmail.com (★→@)へどうぞ。