雪の大晦日

 今日は京都も雪でした。起きたら凍りつくような寒さだった。擦りガラスの玄関戸の向こうがぼんやりと白かった。戸を開けたら、どさどさ雪が降っていました。
 2010年の総括しようと思ったけど、うまく書けない。いろいろあったけれど、今、わたしの中にあるのは感謝の気持ばかりです。自分の力だけで今ここにいるわけじゃない。かといって、力もないのに幸運だけでここにいるとは思ってない。自分と人と両方を信じられるようになった。
 ところで先日、内田樹さんの12/26のブログ記事を読みました。彼はこの記事の中で才能の枯渇について語っている。才能というのは天からの贈与物であって自分ひとりのものではない。才能は自己利益のために用いると失われる。「世のため人のため」に使っているうちに、才能はだんだんその人に血肉化してゆき、やがて、その人の本性の一部になる。という話。
 才能の話を読んで自分のことだなんて考えるほどずうずうしくはないし、自分に才能があるなんて、とてもじゃないけど思えない。でも、「できるはずのないことが、自分にはできる(だから、この能力は私物ではない)」というところにどきっとした。自分が本を出せたこと、小説家として名乗れていること、書いた小説を面白いと言ってもらえることは、何だか未だに不思議で信じられないような思いがしていたのだけど、それこそが天からの贈与物なのかもしれない。天から贈与されたものは天に返すわけにはいかないから「それに対する反対給付義務は、その贈り物のもたらした利益を別の誰かに向けて、いかなる対価も求めない純粋贈与として差し出すことによってしか果たされない。」
 何だか実感としてよく分かった。今自分ができていることを、自分ひとりの実力だと考えて、その特権を自分ひとりのために浪費してしまったら、絶対に才能の終わりがやってくる。そんな動機で作った作品は輝かないし、誰も魅了しない。
 精一杯返していきたいと思いました。わたしにかかわった人が、かかわってよかったと思ってもらえるように。
 2010年、ありがとうございました。みなさま、よいお年を。

ブックファースト梅田店は1月1日はお休みで展示は見れません。