言葉たちの休日

 街を歩けば着飾った言葉たちがよく通る声で呼びかけてくる。何かと思ってよく聞けば、どれもこれも、あの手この手で何かを売りつけようとしているだけだった。いつから言葉は金の奴隷になってしまったのだろう。電車も看板も通路も垂れ流されるテレビも、なにもかもこんな調子だからたまらない。うるさい。
 アジアの小さな町に旅行したときのことを思い出す。観光客のわたしは数歩も歩かない内に物売りに声をかけられた。断っても断っても次々現れる彼らにうんざりした。でも、ここも同じだ、と気づいた。気づいた途端にうるさくてしょうがない。買いたいものは自分で考えるから、少し静かにしていてくれないかな。
 ノーサンキュー、と言いながら、街を歩く。歩いていく。
 そんなことを考える今日この頃です。かっこいいキャッチフレーズも、どうせ何かを売ろうとしてるんでしょう、もういいよ、お腹いっぱいだよって思ってしまう。もちろんそれも彼ら(言葉)の仕事なんだけどね。
 なので、ブックファースト梅田店の3階カフェでの展示は、誰の利益を生むわけでもない、何の役割も背負わされていない、言葉そのものの姿を展示できたらいいなあと考えています。仕事をしていない言葉の姿、休暇中の言葉たち。
 言葉+写真で展示をする予定です。今回はわたしの撮った写真ではなく、kyarry+さんの撮った風景作品を使わせてもらう予定です。わたしが勝手に一目ぼれした写真家さんです。この場所で展示するなら彼女の写真がいいと思って頼みこんだのです。12/16から1ヶ月間です。年末年始を挟んだ1年の節目にふさわしい、気負わない等身大の言葉をつむいで展示したいと準備中です。


photo:kyarry+
 デビューして1年経ったわたしは、どんなふうに写るのだろうと思って撮ってもらった。kyarry+さんの素敵な写真のおかげかもしれないけれど、何だかよい意味で力が抜けてきた気がする。2年目も、しなやかに、がんばります。