11月になった

 11月になりましたよ。処女作が刊行されたのが去年の11月20日だから、もうすぐ1年になる。デビュー1周年を目前にして、まだ次の本が出ていない、どころか、2冊目になるかもしれない原稿を抱えたまま、うんうん悩んでいるという体たらくだし、文芸誌に載ったりということもなかったし。などと思って、ちょっと、しゅんっとしてしまった、ほろ苦い月始めです。
 でも、少なくとも今わたしは、去年の11月以上に、真摯に小説に取り組めているとは思う。いい気になってないし、ひがんでもない。迷いもない。誰かをうらやむこともなく、脇目もふらず、ただ、まっすぐと自分の目の前の小説道をもくもくと歩いているので、よしとしましょう。
 先週末は九州に行って来ました。一番の目的は6月に脳腫瘍で亡くなった友人の実家を訪ねることでした。身近な人が亡くなるたびに、生きてて当たり前なんてことはないのだと知る。大切な人にも自分にも、ある日突然不条理が振りかかって、生を断ち切られるかもしれない。そのことから目を逸らさず、体に刻み付けて、なお、顔を上げ、毅然と生きていけたらいい。
 大学時代を過ごした福岡の街には、いつでも笑顔で出迎えてくれる友人たちがいて、ゆったり過ごして帰ってきました。
 さて、11月6日は京大時計台で「小説の書き方講座」を開催します。2時間で小説の魅力をどうやって伝えようと、あれこれ悩みました。世界を構築する楽しさも捨てがたいけれど、今回は「別人になってみる楽しさ」に焦点をあてて、小説を書く体験をしてもらおうと考えています。
 申込み、まだまだ受付中です。http://rakusuisha.com/
 申し込んでくれた方、がんばりますのでよろしくお願いします。