何者でもない

 自分が何者でもないということを覚えてい続けるのは難しいね。すごいと言われても痛いと言われてもいいねと言われても駄目だと言われても、自分自身は落ちもせず上がりもせず、もらった言葉を糧にして前へ前へ進んでいく、という状態になれたらいいのに。
 気を抜くと、すぐに上がったり下がったりするよ。気がついては地面に戻ってくるの繰り返し。最近、わたし、ヘリウム風船みたいにふわふわと浮かんで、地から足が離れていた気がする。そのことに、はっと気がついて落ちこんだけど、かといって、ガスが完全に抜けてしまうと重くて歩けないし。ほどよく、ぴたりと地に足つけていたい。顔を上げて前を見る。
 わたしの発した言葉が、予想もつかないところで、誰かを傷つけた。予想できなかったのは、わたしの至らなさのせいだし、そういう誤解を生み出したのは、わたしの言葉に嫌なものが混じっていたからだと思う。
 ぴたりと地に足がついているときの言葉は、見た人がはっとするような佇まいで、すらりと立つ。嫌なものの混じった言葉は、誰かに唾を飛ばし、いやらしい目で見て、人の袖をひっぱったり、不快な音量でがちゃがちゃわめいたりする。どれだけ耳障りのよいものでくるんだとしても、架空の世界でカムフラージュしたとしても、その不協和音は耳に残る。
 今回だけじゃない。何度も何度もはっとさせられながら、わたしは地に降りて来る。もう大丈夫と思っても、気がつけば浮いている。まだまだだな。本当に、まだまだだ。

 ところで、突然ですが個展します。
 5/14〜5/26 Cafe near にて。
 ギャラリースペースとカフェスペースが区切られていて、ゆっくり見てもらえるし、カフェで話しもできるし、理想的な空間です。かなり広いスペースを使って、何をやるか。今から考えるんだけども、小説の展示を考えています。展示のための書き下ろし。そして、せっかくなので展示ならではの小説を。…自分でハードル上げまくり。また詳細は後日告知しますね。

 そして講談社Birthのイベント「Birthカフェ」は5/24〜6/26の長期間、スワンカフェ銀座店で行われますが、わたしは5/24前後に東京に滞在する予定です。せっかく東京行くなら会ってやるよとか、こんな企画やってみない?とか、何かしらありましたらご連絡ください。あまり長期間滞在してませんが臨機応変に対応します。いや、対応しますって偉そうなことを言ってる場合ではなく、小説を書かせてもらえる場があったら声かけてください。お願いします…!いや、ほんまに。