今年出会えてよかった本

 読書の記録を眺めながら2009年の総括です。今年発売された本とかじゃなくて、出会えた本なので時流に全然関係ないですが…。

夜間飛行 (サン=テグジュペリ・コレクション)

夜間飛行 (サン=テグジュペリ・コレクション)

 一番出会えてよかった本は、この「夜間飛行」でした。サン・テグジュペリが星の王子様だけじゃないって知っただけでも、何だか自分の中で世界が広がった感じ。シンプルで分かりやすい小説だと思う。でも、噛み締めたい言葉がいっぱい詰まっていて、人生も詰まっていて、哲学も詰まっていて、よかったのですよ。とっても。経営者の立場も、雇われ人の立場も、仕事に向かう男の立場も、家庭を守り夫を愛する妻の立場も、大切に丁寧に書かれていて、きっと誰が読んでも面白いんじゃないか、と思う。
はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

 今更なんだけども、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」。児童文学だから本当は子供のときに出会っておけばよかったのかもしれない。でも今出会ったから分かることがたくさんあった。ストーリーや世界観がわくわくして面白いのはもちろんなんだけど、この話にはフィクションの効能のようなものがいっぱいいっぱい書かれていて、それが物語の生み手であるわたしを勇気づけてくれる。言葉に上手く出来なかった思いを、物語という形で具現化してくれている。しかもこんなに分かりやすく読みやすい形で。
 この二冊は、わたしの中で一生を通じて大きな意味を持つだろうなあと思いました。
1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

 出会えてよかったというか、まあ新刊出てよかった、みたいな。新刊って、まだ内容知りたくない人もいるだろうから感想書きにくく読書の記録には載せてませんが。ほほう、春樹、そうきたか、と思った。で、やっぱり面白いな、と思った。最近売れてる本って、物語に余白がないというか、分かりやすすぎるというか、まんまというか、手取り足取りっていうか、そんな物足りなさがあるので、春樹が読者がとっかかりやすい俗な設定を盛り込みながらも、よく分からない部分もいっぱい盛り込んでいて、そんなよく分からない成分の多い物語がたくさん売れたのは嬉しいなと思う。
オニが来た

オニが来た

 2009年滑り込みで出会えた大道さん。何か妙な小説だよ。ただものじゃないというか、常識のたがが外れているというか。とても読みやすいんだけど、じわじわ妙な世界に引きずり込まれる感じで、それが不快じゃなく、気持いい。かっこよくとか、がんばらなきゃ、みたいな肩の重荷がすっと降りる感じ。他の作品も読み中だけど、何かもう、いいね。わたしは好き。敵わない。まあ、顔をしかめる人もいるかもしれない作風だけど。
 という感じでしたが、みなさま2009年の読書はいかがだったでしょうか。2009年は、わたしの物語も本になって、ちょこんと仲間に入れてもらって、読んでくれる人がいたりして、何だかもう、すごいことだなあと思いますよ。