「京の発言」発行されました。

 京都大学教授・佐伯啓思先生が主幹のオピニオン誌「京の発言」に、エッセイを掲載してもらいました。


 夏くらいに騒いでいたやつなのですが、ようやく発行です。昔から“社会”という科目が苦手だったわたしは、政治・経済・歴史と聞くと、うええーって顔が歪みます。もちろん現在でも政治やら経済やらは苦手で、何とか興味持とうとネットラジオ聞いたり日経のサイトを読んだりしてるのですが、よもや社会科学を専門とする方々のがっちがちの文章が並ぶこの雑誌に何かを書かせてもらうことになるとは…。出会いって不思議なものです。顔を知ってる人たちがやってると思ったら、苦手だった分野も興味が持てるようになってきました。しかも、初掲載の第11号の特集は「芸術と社会」だったので、興味深かったです。…ええ、まあ、半分も理解してないのですが。
 ここでわたしは何を書いているのかというと、息抜きのエッセイです。息抜きといっても読者層を考えて、わたしにしてはかなり頑張った感じで、純文学の小説に近い文章で書いています。連載です。テーマは、京都を舞台にした文学を取り上げて、作品と場所を紹介しつつ、自分の個人的な思いを篭めて、読んでる人がその文学作品を読みたくなり、その場所に訪れたくなるようなエッセイです。
…ええ、当然のごとく、超難しかったです。
 今回は梶井基次郎の「檸檬」を取り上げました。わたしは小説を書いているのに理系の進路を取ったため、「文学」を学問としてやったことがない。そんなわたしが文学を分析したり一説ぶったって、しょうがない。京都に六年住んでるけど京都に関しての薀蓄もほとんど知らない。長年京都に住んでるわたしより年上の人たちが読者なのだから、偉そうにガイド本で聞きかじった薀蓄ならべてもしょうがない。小説家として、わたしならではの視点で書かなければ、とかなり悩みました。小説家の売りってなんだろう? それは「個の視点」を通して伝えるということじゃないかなあと思ったりしました。一般論じゃない。自分自身の主観的な視点を、独りよがりではなく掘り下げて語ることができれば、読んだ人の「個」に届かせることができるんじゃないか。
 まあそんな感じで悩んだ甲斐はあったなあ、と思いました。
 ところで、この「京の発言」。関係者いわく、同人誌に毛が生えたようなものだそうですが、でもさ、ISSNコードとかちゃんと付いてるし! 自分で作った雑誌以外で、初めて紙の媒体にまとまった文章が載ったー!ひゃほー!! …と、自分でも予想外にはしゃいでしまった。びっくりしました。何でこんなにはしゃいでるんだ、わたし…。発行までに時間もかかったけれど、やっぱり紙のものって嬉しいです。たぶんこれを読む人は、ネットなんてあまりしない人たちばかりじゃないだろうか。普段なら届かない人に届いたらいいな。
 次号は、川端康成の「古都」を取り上げるつもりです。

 京の発言公式サイト
 http://www.kyonohatsugensha.jp/index.html
 …文字化けしたら、ブラウザの表示→エンコード→日本語(EUC)にすると表示できます。
「京の発言」購入できるのか…って? 一応公式サイトに問い合わせ…とありますが、まあもし買いたいという人がいらっしゃったら、わたしに言ったほうが早い…かも? 何だかネットは弱そうな方々なので。
 メールください。聞いてみます。ちなみに500円です。
 chiku_kan☆yahoo.co.jp (☆→@に直してください)

 さて、今日は写真展最終日です。搬出があるので夕方から行くつもり。写真展は18時までです。

 ■追記■
 購入方法が分かりました。
 http://d.hatena.ne.jp/pasoco/20090115