2008年の読書を振り返る

 何だか京都は雨ばかりの正月です。意を決して外に出たら雨に降られてしょんぼり。これは家に引きこもれってことですね。きっと。食糧買いこんで篭城してます。
 さて、ふと読書の記録を見たら、2008年に読んだ本は40冊でした。2007年も47冊。案外少ないものですなあ。今年はもう少したくさん読みたい。ネットばかりして遊んでる暇があったら、本を読もう。小説を読む時間は、自分自身と対話する時間なんじゃないかなあ、なんて思う。でもネットは、他人のことばかり覗き見ていて、自分のことを棚に上げて楽しむジャンルのような感じがする。どちらも良し悪しだけど、今年はもっと自分の声に耳を傾けたいなと思います。良質な小説をたくさんたくさん貪って栄養にして。
 というわけで、2008年に読んだ本のベストはやはりこれですね。

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

 (上・中・下とあります)
 読むのにエネルギーがいった。もう一つの人生を生きるくらいのエネルギーが。でも読み終わったときの充実感は、もう三人分くらいの人生を生き終わったような気分だった。何だかもう、ドストエフスキーという一人の人間の手を離れて物語が膨れて暴走して息づいて神がかってた、そんな鳥肌のたつような小説でした。村上春樹が好きな小説として一番にあげてるのも納得がいく。でもこれは、今読めと万人には薦めない。こんな小説があるということを覚えておいて、一生の間に、いつか、ふさわしい時が来たら読んで欲しいなあとか思います。
 短編のベストはこれ。
トーベ・ヤンソン・コレクション 5 人形の家

トーベ・ヤンソン・コレクション 5 人形の家

 トーベ・ヤンソンの短編集です。なんて温かく厳しい目で人間を描くのだろう、と思った。明日、テレビでトーベ・ヤンソンの特集があるらしいので、楽しみにしています。再放送らしいけれど。

地球ドラマチックムーミンの世界』
2009年1月3日(土) 12:00〜12:44
http://www.nhk.or.jp/dramatic/

 日本人のベストは2冊挙げます。1冊目は、これ。

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

 (上・下とあります)
 政治臭が苦手で避けてた村上龍だけども、個を描く小説家らしい視点で壮大な物語を描ききっていた。
 2冊目は直木賞獲った話題のこれ。
私の男

私の男

 ああ、すごく小説だなあと思った。いい意味で。センセーショナルなテーマを扱いながら、あくまで登場人物一人ずつの心境に寄り添って書いてある。作者自身が真に迫ってなりきらないと書けない物語だと思った。
 さて、今年はどんな本に出会えるかな。