心安らかに新年を迎えます

 大掃除、おせち、年賀状、この三つを諦めました。すると、追い立てられて忙しかった気持がすっと収まって、心安らかに新年を迎えられそうです。わはは。駄目人間。掃除は正月にします。ええ、ええ、2009年も自由に生きていきます。
 さてさて、2008年を振り返ってみました。去年の今頃は、まだ院生してたわけで、ばたばたと最後のあがきの実験をしていました。2月に学位審査があって準備に追われて、修了して、今までより暇になった分、小説を書かなければという思いばかりが先走り、追い立てられるように4月末に長編を仕上げて日本ファンタジー大賞に応募しました。が、夏に落選が判明。
 5月、6月は、掌編を乱発したり、昔の書きかけの小説を引っ張り出したり、陶芸の話を書こうと、穴窯を築いて作陶している陶芸家の方を取材させてもらったのに上手く書けなくて悩んだり、気ばかりが焦った時期でした。7月からもやっぱり書けなくて混迷してたのだけど、カメラを手に入れて、いろんな人と接するようになって、それどころじゃなくなった。わたしが小説家志望であることも、院で研究してたことも、全く知らずに写真からつながった人たちとわいわいやってるうちに、今まで頑なに抱えてたものが崩れて自由になってきた気がします。
 8月9月に昔の短編を1000文字に直して出して、きらら佳作入選。1000文字に削っていく、限られた文字数でどう篭めていくか、そんな試みはとても刺激的な体験で、ただ長く書けばいいってもんじゃないなあ、なんて思ったりしました。
 あとは、初めてのエッセイ執筆。全く違うバックグラウンドの人たちに向けて書く、エッセイ。ものすごく難儀した。でもこのおかげで、エッセイの書き方が少し分かった気がする。気取りすぎてた自分にも気付く。12月に亜沙美さんから回してもらったウェブエッセイは、比較的自由にするっと書けたのも、ここで苦労したから。
 10月、ふと、蜂子さんの短歌をもとに掌編を書いてみるという試みをして、するっと物語のかけらが生まれた。今まで、力の入れどころが間違ってたのかな、なんて思う。少しだけ何かが見えてきた気がします。
 11月、角田さんのワークショップに参加。角田さんの小説に対する真摯な姿勢に感銘を受ける。そして、作家志望ばかりがうようよ集まってる会に参加することで、ああ、わたし、いろいろ奢っている、と、自分のことを振り返ったりもしました。 誰かと張り合うものじゃない。もっと、すとんと、唯一無二で在らなければ、と思う。
 12月、ウェブエッセイの執筆。そしてこの1年の総決算としての「セルフポートレート」をセルフポートレート展に出しました。写真の技術がどうこうではない、そこには、わたしが写ってる、そんな作品が出来た。

 振り返ると5月くらいのわたしと、今のわたし、何だか別人みたいな気すらする。小説一本にする生活を選んだわりには、遊んでばっかりだなあと思う。 でも、何だろう、物語が宿って、上手く響かせるためには、うつわが必要で、そのうつわを作ってた1年だったような気がします。今までの自分の何かを壊したかった。好きなところは残して、頑なな、今までのわたしをうまく壊したかった。うまく説明できないし、意識してやったわけじゃないけど、今、こうして、ここにいることに結構納得してます。

ゆらゆらと体の力を抜いて頭も空っぽで、心だけなびかせて、 新しい物語が訪れるのを、静かに待ってようと思います。

よいお年を。来年こそは、あなたもわたしも、そのつぼみが開きますように。