眠れない期

 1ヶ月のうち数日間眠れない時期がやってくる。眠くてしょうがない時期があるから相殺して勘定が合うか。1日24時間区切りなんてせせこましいことやめちゃおうぜ! 1ヶ月で勘定が合えばよろし! と言っても世間はまあ時計どおりに動くわけで。これで同居人がいなくてバイトもしてなかったら、一体どんな生活になるんだろうなあ、とか思ったりします。
 世間はポニョポニョ言ってるときに恐縮ですが、わたし個人的に「魔女の宅急便」に思い入れがありまして。キキが落ち込むことが続いてしかも魔法が使えなくなって踏んだり蹴ったり。猫の言葉も分からなくなって箒にも乗れなくなってもがくシーンを、小説が書けないときは、いつも思い出すのです。こ、この…駿め…!とか思います。こんなところにいろいろ篭めやがって…!
 今まで普通に出来てたからこそ、出来なくなったらどうしていいのか分からない、という感じとかね。箒乗って飛ぶこと仕事にしてるのに、出来なくなってどうすんの、みたいなとことかね。皮肉屋で相棒で頼りになる黒猫のジジがニャアとしか言わなくなるとことかね。絵描きのお姉さんのセリフとかね。沁みる。とか思うようになったのは、大人になって見直してからだけど。
 自分の書いた物語も、書きかけの物語も、他人が書いたみたいに思える。誰も応えてくれない。胸のうちがしんとしてて空っぽで、自分が小説を書いていたことすら信じられない。
 でも、いつものこと。いつものことだから。いつも絶望した先に次があったから、今回だって、絶対あるとか思いつつ、楽観してるといつまでも何も来ないしね。まだまだもっと落ちていかなきゃ。
 いつもいつも明るいことだけ前向きなことだけここに書いていきたいけれど、一人きりで綴る小説の場所へ落ちていくために、準備運動のように、トンネルを抜けるように日記を書いていくんだろうな。安易かな。安易かもしれない。でも、毎日笑ってばかりの幸せなわたしは、日々を過ごすだけじゃ、物語に到達できないのかもしれない。

(写真の感想ありがとうございます。物語が伝わってくる、なんて、わたしにとって一番嬉しい言葉だ。)