取り分ける

 締め切りに追われて無理矢理全力疾走で完成させるばかりが能じゃない、とは思う。これじゃ、いつも同じパターンの同じ物語しか生まれない。今回の物語はゆっくりじっくり完成させようと決心しました。6月末に間に合わなくていい。もっと時間をかけようと思った。
 でも、そう思った途端に気が抜けて、執筆のペースが急激にダウン。それどころか他のことばかりやって、物語のことを考える時間も減ってしまった。このまま出来かけの物語が消えてしまうのではないかと恐ろしくなった。
 物語のための時間を取ってやらなきゃ、いつまでたっても完成しないんだと知った。時間をかけて書くということは、先延ばしにすることではなくて、専用の時間をたくさん取るということ。当たり前のことなのに、舞台も道具も要らず心一つで決まる小説の創作作業は、つい、日常に埋もれておざなりになってしまうみたいだ。たとえ一行しか書けなくても、何も書かなくても、専用の時間を取り分けてやること。そのモードになること。できるだけたくさんの時間をかけること。が、必要で。毎日2時間机につく、というのはそういうことなんだろう。わたしのやり方は、どうすればいいのか。これから探していかなきゃいけないんだろうな。