スタートライン

 あるマラソン選手が言ってた。メンテナンスやトレーニングを積んで大会当日スタートラインに立てたということ、そこでもう8割は達成なんだと。あまり正確じゃない引用ですみません。
 小説とマラソンはよく似ていると思った。
 スタートラインに立てた。走り始めた。何があるか分からないし、力も足りないかもしれないし、途中で故障するかもしれない。漠然としたコースは分かるけど、走ってみなければ分からない。終わりがどうなってるのかもまだ知らない。でも走り始めることができたら、もう走ることだけ考えていればいい。どう走るか、どこに到達するのか、それは踏みしめた距離だけが語ってくれる。
 お久しぶりです。じたばたもがいてました。どの物語を書くかようやく決まった。どんな子が語るのか決まった。何から語るのかが昨夜決まった。スタートラインに立った。書き終わるまでわたしは川原を走らないだろう。相変わらず「走り」続けるのだけれど。6月に入って10日間走り続けたおかげで書き始めることへの移行がスムーズだったりする。
 残り20日間弱。まあまあ上出来。400枚書いたときの4倍のコストをかけて1ページを書きたいな。ちゃんと書けるだろうか。物語は動くだろうか。魂のない傀儡になってしまわないだろうか。不安だらけだけど、スタートできた嬉しさが何より勝る。