esで執筆

 何度も書いてるけど、わたしwillcomの巨大PHS「es」の愛用者です。わたしが大学に入ったとき(十年前…!)は全員PHS持ちでしたよ。070から始まる番号でしたよ。それが成人式あたりから「070なんて恥ずかしい」という風潮が現れ始め、続々とみなさん携帯に変えてしまわれました。willcom(当時DDIポケットでしたが)もそんなみんなを繋ぎとめようと、「次世代ケータイ」というキャッチコピーで新商品を売り出しましたが、「次世代ケータイっていうけど070だからピッチじゃん」と、世間の反応は冷たく。そしてその頃は写メールやらの全盛期。付属ユニットで付けられるもののカメラのないPHSは世の中の流れに置いていかれるのでありました。ピッチ、安いのに…。
 で、何だか意地になってwillcom使い続けてて、そしたら携帯の人たちが引くような機種が出て一年前に乗り換えたのでした。それが、「es」。テレビのリモコンみたいな巨大な形。でもスライドさせると英字配列のキーボードが出てきて、携帯の文字打ち独特の「お」を打つときにあ行を5回押すというようなわずらわしさから解放される。しかもタッチペンで操作できる。ウィンドウズモバイルが入っている。オペラとIEも入ってwebも見れて、しかも通信料が安い。あ、もちろん電話も出来ます。この機能はときどき忘れます。windowsが使えるPHSというよりは、通話も出来るPDAという感じですが。
 で、本題!家にずっと篭ってても新しいアイデアは浮かばないわけですよ。ワンシーン書いたら外へ出て、ぐるぐる散歩して、思いついたと思ったら素早く帰ってきてまた書く。でも素早く帰ってこれる距離ならいいけど、そうじゃなかったら往復時間が馬鹿みたいだ。思いついたその場で執筆したいじゃないですか!パソコンを持ち歩くわけにもいかない。歩いてもいいけど、バッテリーがもたない。紙に書くのがいいんだろうけど、頭のスピードと手で書くスピードが合ってなくていらいらする。手の方が遅いので当然汚い字になって後で解読不可能になってしまう。一文字一文字原稿用紙を埋めるような文学的な話なら手でもいいんだろうけど、今書いているのはどんどん物語を進めていくタイプの話なので紙とペンじゃ追いつかない。というわけで、小さいパソコン欲しい。だが、高い。ああそうだわたしにはesがあるじゃないか。ワードもついてるし。これにミニキーボードを接続すると書きやすいという噂をネットで見つけ、早速キーボードとUSBホスト購入。合計4000円くらいの出費。
 で、これが届くのが待ちきれなくて、カフェに座ってるときに、ついにes本体で執筆してみたらこれが案外書けるんだな。両手で持ってぴこぴこと文字打ってる姿は怪しいことこの上ないが、頭のスピードを止めることなく、それなりに長い文章が書けてしまう。やばい、携帯小説家デビューか。いや、PHS小説家か…。新しいよね…。
 だけど問題が。こんなオタクっぽい姿を公共の面前で晒したらさぞかしみなさん避けていくだろうと思いきや、関西のおっちゃんおばちゃんたちはフレンドリーでかつ好奇心旺盛。しかも自分が携帯を持ち始めて機種とかいろいろ気になるお年頃だから、気になってしょうがないらしく、「それなんですか?」と話しかけられる。…執筆できないじゃん。まさか執筆中ですのですみませんと言うわけにもいかん。どう見ても遊んでいるようにしか見えないし…。
 なおかつ、これにキーボードを接続して執筆した日にゃあ、関西人の興味を惹きまくってしまう!あやしくて誰も近寄れないだろうと思ってたわたしは関西人を舐めていた!執筆するときは周りをよく見回して、おっちゃんおばちゃんのいないところでやろうと思います。サイトを見てる方は、関西で安っぽいチェーンのカフェでこれで執筆してる女を見つけたら、ぱそ子さんですかって話しかけていいからね。許可する。おしゃれなカフェでは執筆できないんだよね。おしゃれなカフェって客にもおしゃれでいるよう強いる気がする。わたしなんぞ。

ほらこれに100円ショップで写真立て買ってきてPHSを固定させると完成だぜ。