インベカヲリ★写真展

以前Folioに作品を載せさせていただいて、しかも表紙にも使わせていただいたインベカヲリ★さんの写真展が大阪西梅田駅の近くのニコンサロンで3日から8日まで開催されています。
Folio4号「エロス特集」で初めて作品を目にしてそれ以来ファンでしたの、よ。
http://folio.daa.jp/04/ (インベカヲリ★作品集をクリックしてください)
世の中にはいろいろなエロスがあると思いますが、そして写真にもいろいろあると思いますが、なんかこうぐっと来ました。なんというか、とにかく言葉になる前の段階のもやもやをそのまますぱんと届けられてすっきりする感じです。彼女のサイトにたくさんの作品が掲載されているのですが、見れば見るほど本物の写真を見たくて、ずっと写真展の開催を心待ちにしてました。
あ、ちなみにサイトは、
http://www.inbekawori.com/ こちら。
一目見てまあ破廉恥な…って引く人もいると思いますが。エロいんだけど、尖ってるんだけど、どこか可笑しく、媚びてないのに可愛げがある。

で、写真展。3日に行きました。たくさんの作品を見ることができて大満足でした。一例ですが。(本人に撮影許可もらいました!)

ウェブだとセンセーショナルな印象ばかりが先走ってしまうのだけど。こうやって写真一つ一つと向き合ってると、何だか違うものを感じました。モデルの子たちはみんなこちらを睨んでるんだけど、なんだか日常の表層の楽しさとか嬉しさとはまた違う、一段深い魂の満足を感じる。これでいいんだ、みたいな、腑に落ちる感じ。すごく力がある写真でした。写真展の最初に書かれている言葉にとても共感してどきどきした。

「ありのまま……」という言い方があるが、作者はその言葉を信用していない。私服や普段見せる表情は、本人が社会に適合するために演出として使う外見上の主張であって、それが真実とは限らないからである。
[倫理社会]<インベ カヲリ★展>より引用。

ここに全文が載っています)

小説の話になりますが、わたし自身に関しては最近は「ありのまま」を信じなくなったところだったので、ああまさに!とこの言葉を読んで嬉しかったのでした。もっと自分に近いありのままの主人公にしたらいいんじゃないかと言われることがよくあって、そうしようと思って書いたこともあるのですが。それは結局完成したのに何だか駄目な気がしてもう日の目を見ることがない作品になってしまいました。嫌な死んだ物語になってしまった。何でだろう…と考えてた。自分に近い主人公を書くと、プライドや見栄やそのほかいろいろな余計なものが邪魔してしまうのかもしれない。自分をさらけ出しているつもりでも実は「よく見せよう」という下心が物語をゆがめているのかもしれない。その点、全く違う境遇の主人公を一生懸命書いているときはそんな意識は全くなくなる。で、出来上がった主人公が全くの別人かといえば、それはありえない。何をどうやっても自分というものはついて回る。
もちろん自分をさらけだすのが天才的にうまくて魅力的な小説を書く人もいる。そういう人やそういう小説に憧れていたけれど、でもわたしはそのタイプではないのだと分かった。作品を一つ一つ書いていくことでしか自分の持ち味なんて分からない。まだ分からないことだらけだけど。
自分で全てを選択して自分らしい装いをしているつもりでも、それは職業や周りの人間関係や年齢や流行や一般常識の影響を受けている。そういうものを全部取り除いたときに何が見えるか。インベさんの写真が文学的だと感じるのはタイトルやセンセーショナルな文字のせいだけじゃないと思う。だからとても惹かれるんだろう。

おまけですが、初日に行ったのでインベさん本人とお話することができて、舞い上がりまくりました。もう声がうわずるわ何喋ってるのか分からないわ。大変でした。そんな自分、ここ数年来見たことない。よほど好きなんだろう。関西にお住まいの方、週末よかったら。