うつわ

 この期に及んでまだ資料集め、取材、情報集め、構想練り、を毎日やっております。まにあわねー!材料集めと設計図の作成と建築を同時進行でやっているようなものです。今回ハードルが上げすぎた。ああうう…(見上げながら)。ハードルっていうか棒高跳びのバーだ。
 こんなところに、ぎゃあぎゃあ文章書き散らしてるくせに、意外に遅筆なのだなと気づきました。ええ、ついさっき気づきました。量産できないや。しかも売れるタイプの作風でもないし。こうなったら芥川賞しかないです。ああ、ハードルが視力0.3のわたしの目からはもはや見えない…!
 RPGの勇者のような日々を送っております。一つイベントこなしたら次の情報がもらえる、みたいな。いつになったらラスボスに辿り着けるんでしょうか。年末に陶芸体験をして出来上がった作品を取りに行ったら、朝日陶芸展がちょうど大阪で開催中だという情報を手に入れ、今日は朝日陶芸展へ行ってきました。
http://www.asahi.com/asahi-tougei/
 なんだこのちょうどいい開催時期…!何も知らずに行ってきたけど、この時期このテーマで比較的近くで開催されてるなんてもうわたしのためとしか思えない。というか、何だかプログラマーの見えざる手が見える。何これ。ぱそ子が無事小説書き上げるゲーム。超売れなさそう。
 サイトの写真を見れば分かるように、前衛的なオブジェ作品が中心の陶芸コンクール。陶芸家の先生7人と陶芸評論家の1人が選んだのだそうだ。だからなのか、全体の応募作品がそうなのか、予想していたよりも「土」を意識した作品が多かった。もっと訳分からないものばかりかと思ってたけど。んで、土の芸術なのに土を忘れて嘆かわしい!とか言ってみたかったのに。そんな予想していたわたしの頭が嘆かわしい! 陶芸家さんって他の芸術家さんより真面目で地味な印象。そりゃね。土と格闘してるんだから土を忘れたりしないよね。さて、多くの人が思い浮かべる陶器は皿だったり花器だったり茶器だったり酒器だったり、用途があるもの。だけどこの陶芸展に並べられたオブジェたちは「用途」から解放されることで出来上がった作品たち。だから、めっちゃ自由。土でこんなこともあんなこともできるのか、という可能性を見せられる。でも自由すぎて力が感じられない、と審査員の誰かが評していた。なるほどね。
 不自由の中からどうにかして飛び出そうと自由になろうとする力、そこに強さがあるよねー、なんて、わたしも便乗したり。花入れるから穴が開いてないといけないとか。酒飲むから飲み口がこの角度がいいんだとか。食べ物載せるから色は派手にしないんだとか。あとは手法として、釉薬と土と火の不自由さの中であれこれ出てくる。そういう縛りの中の創造って、緊張感があって固くて強い意思が伝わりやすい。それに「使える」ものは使い手との共演がある。会場の中で審査員の一人の陶芸家のドキュメンタリーのDVDを流してて、華道の先生とその人の作品がコラボしてまた違う素晴らしさが生まれてて、うおおーと思いました。
 とはいえ、朝日陶芸展の作品たち、わたしは手放しですげー!と思って楽しんできました。で、もしわたしが陶芸の技術があって、自在に土を操れたとしたら、一体何を作るんだ??と思って途方に暮れてしまった。
 ううん、わたしには無理だ。わたしが書きたい小説は、「用途」の縛りがある食器のようなものだと思いました。自己や思想を主張するためのオブジェじゃないな。わたしの物語が器になって、読む人がそこに自在に自分の心を盛り付けて遊んでくれたらいいなと、思う。まずは使えるものを。穴が開いてたら使えないからね。
 ところで、陶芸体験でわたしが作った作品ですけれどもー。恥ずかしすぎて写真アップできません。手びねりで作った普通のカフェオレボール兼抹茶椀のつもりなんですけど、なんかもう大雑把で適当でだらしないわたしそのものの仕上がりになりました。 …これを毎日眺めて自分のだらしなさを反省しようと思います。そうそう、陶芸体験したのはここです。
 賀茂窯 http://www.kamogama.com/
 優しいおねえさんに、うまいうまいーっておだてながら教えてもらいました。すると自分そのものの作品が出来上がりました。素晴らしい。カフェもあって、コーヒーやらフレンチトーストやらカレーやらが素敵な陶器で楽しめます。電気窯の陶器の魅力もここへ来て思い出した。室内の光を吸い込んでふんわりほっこりするような存在感。
 穴窯をメインで書くつもりなのだけど、そのためには別のサイドからも光をあてなきゃいけない、と思っていて。それが陶芸家ではない人に読んでもらうために必要な視点かなと思っています。オブジェ作品見にいったり、おしゃれ器を飾ってるインテリアショップをうろうろしたりね。
 そして、本当のメインは人間そのもの。「陶芸」は小道具。でもこれ以上ないくらい素敵な小道具になりつつある。そしておかげさまでこれ以上ないくらい高い高いハードルになってます…が。乗り越えるぜ!
 そんな感じです!です!まにあわねー!どうしようー!年度末ってイベント多すぎ…。