生き様

 最近、自閉症について調べています。もともと脳科学的な興味から始まって、症状を知れば知るほど脳の不思議さにひきつけられる。もちろん今はそんな興味から少しずつ人への興味へ移っているのだけど、まだただの野次馬的な域を出ていなくて本当に自閉症と向かってる人たちから見たら不謹慎な気がして日記に書くのもためらわれるのだけれど。この間の火曜日、NHKの「プロフェッショナル」という番組で自閉症児の支援をしてる人のドキュメントがあると聞いてビデオを録って昨日見た。
 自閉症児は他人の表情が何を意味しているのか分からない、怒ってるのか笑ってるのか分からない。だから不安で一杯だし、他人に対して攻撃的になったりする。それを全て受け止め、確固としたやり方で社会に適応する手伝いをしている一人の女性。彼女の笑顔を見て泣きそうになってしまった。全部を受け入れる、何も押し付けない、彼女の人柄が懇々と湧き出て顔に表れてしまったような自然な笑顔。思い出すだけで、体の芯がぎゅうっと熱くなる。
 http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/071030/index.html
 この写真では分からないんだけどね。本当に 心打たれる笑顔だった。助けてあげようなんて押し付けがましいところはなく、こんなに大変なことをやってしまって自分がかわいそうなんて思う気配もなく、ただ自閉症児を支援するプロフェッショナルとして、その仕事をやり遂げたいという率直な思いが伝わってきた。茂木さんと対談しているときも、相手の言葉を一旦飲み込んでゆっくりと咀嚼してから、静かに言葉をつむぐ。だから妙な間がある。あの間に優しさを感じた。自分が自分がということじゃなくて、相手を理解しようという間だった。

 多様さを認めることが大事、というようなことをぽろりと言った。それが彼女の笑顔の秘密だと思った。