COFFEE AND CIGARETTES

コーヒー&シガレッツ [DVD]

コーヒー&シガレッツ [DVD]

 アディクション(中毒)って何だか色っぽい。コーヒーは好き。煙草は吸わないけど描写するの大好き。むさぼるように引っ切り無しに吸わせるのが好き。まあ実際、わたしの小説の場合、コーヒーと煙草は会話の間をつなぐ必須アイテムだと思う。というわけで、気になってしょうがなかったこの映画をようやく見た。テーブルの上にコーヒーと灰皿。二人か三人の人間が出てきて、コーヒーを飲み、煙草を吸いながら会話をするというだけの短編集なんだけど、何かおかしい。何だかすごい好き。二人の人間の間の緊張感や性格やその場の関係性が全部、コーヒーと煙草に現れている。似たようなシチュエーションで人間だけ変えて繰り返しやるからこそ表現できる妙だと思った。あれだ、あの二人の人間の気まずい空気が流れて滞ってる瞬間って、見てて堪らないです。あと、登場人物が繰り返し、コーヒーと煙草が体に悪いと言うところや、モノクロの画像のせいかコーヒーがとてもまずそうに見えることや、有名俳優やミュージシャンを使ってるのに何だか冴えない人々にしか見えないところが、とてもツボでした。誉めてますよ?


 お酒じゃ、こうはならないな。お酒だと自制心なくなりすぎて、この緊張感の妙が表現できないもんね。まあ、酒と煙草だとまた別の映画が撮れそうだ。コーヒーはいいよね。適度に中毒性があって、適度に暗くて。あんまりおいしいものじゃないってとこがいいよね。苦味を楽しむなんてマゾっぽいもん。

 この映画見た人、今度コーヒーで乾杯しようよ。まずそうな適当なコーヒーがいいね。大きなカップでがぶがぶ飲んでさ。