しごと

 毎日、朝起きて寝るまで小説のことばかりやっている。全部の時間を費やしていないと間に合わなくて、休日という休日もない。いい季節になったから京都に遊びに来たいというメールが続々と友達からやってくる。3時間くらい近所でお茶かご飯なら何とか…と返すたびに、がっかりさせたり忙しいのにごめんねと恐縮させたりして、申し訳なくなりながら。
 どこかで誰かが何か新しい便利なものを作っている。誰かが新しく建つ家の設計図を描いている。国の行く末を相談している誰かがいる。傷ついたたくさんの人たちの手当てをしている誰かがいる。命を育てている人もいる。その間、わたしはただ、パソコンに向かって、もうひとつの世界のことを考え続けている。わたしが選んだのはそういうしごとなんだ。そういう人生なんだ。
(連載ね、まだ終わってないですよ。不定期更新ですから。しばしお待ちを)