舞台美術の展示

 京都芸術センターというところに、展示のフライヤー置かせてもらえるところがあるよと教えてもらって行ってみたら、面白い展示をしていました。

「舞台裏--物語へようこそ--」
会期:2010年4月13日(火)−5月9日(日)10:00−20:00
会場:京都芸術センター ギャラリー北・南
出展作家:奥村泰彦・柴田隆弘
主催:京都芸術センター
http://www.kac.or.jp/bi/289

 二人の舞台作家のそれぞれの今まで作った舞台のラフや模型や、実際のセットが展示されていた。



 写真は展示されていた模型。小さな模型なんだけども、眺めているだけで、これからどんな物語が始まるんだろうってわくわくした。
 舞台セットって、裏は張りぼてだったりベニヤだったりするけど照明と役者の動きで、圧倒的な存在感が生まれていく、生き物みたいなアートだなあと思った。想像の余地を残したいい意味で不完全な建築。演劇は好きでよく見るんだけど、役者の動きやストーリーを追うのでいっぱいで、こんなふうに舞台セットに改めて注目する機会はなかったから、面白い展示でした。
 見積書のファックスのコピーなんかも展示されていた。1セット作るのに数百万かかっている。うわあ、そうだよね。そりゃかかるよね。しかし、それに比べて、ほんと、小説って(書くだけなら)お金のかからない芸術だなあと思った。でも、この舞台装置の圧倒的な説得力に小説は文字だけで対抗しなくちゃいけないって考えたら、どれだけがんばらなくちゃいけないか、と鼓舞された。
 写真を撮っていいということだったので、ほぼ全部の模型を写真に撮って帰ってきた。わたしはこんなに綿密にオリジナリティ溢れる「舞台」を用意できてるか、と自分に問う。ううん、まだまだ全然。小説はすべてを書かなくても成り立ってしまうわけで、その極端な例が、ケータイ小説だと思う。主人公の脳内のセリフだけで成り立つ世界。書かれてない舞台背景は、それぞれ読者の頭にある既成のものを使って補われる。でもわたしはそうじゃなくて、読んだ人を驚かして、忘れられない舞台を用意したい…なあ…いつかは、ね。
 ところで、展示してある舞台セットを使ったパフォーマンスを募集しているらしい。4月20日まで募集ってことは、実際の展示を見てから考えてもいいわけで。ふつうなら、劇があって、それにあわせた舞台セットを作る。でも逆に、舞台セットがまずあって、それにあわせたパフォーマンスをやってみよう、という面白そうな試み。公募企画。面白そうだなあ。舞台セットを見て、その舞台に合わせた小説を書き下ろし、朗読…とか夢想したが、想像するだけでプレッシャーすぎて鼻血が出そうになった。わたしにはまだ無理だな。どう見せるか、どう伝えるか、美術系の進路を選び授業を受けている人たちは、そのトレーニングを日々積んできているのだろうな。とりあえず、客として見に行こうと思います。そして、少しずつ、ね。