初めての税務署

 初めて税務署に行きました。天引きされた税金を還付してもらいに。税金のことを全く知らなかったので、恐れるあまり事前にかなり調べて勉強して準備万端すぎて、あっさり終わりました。噂には聞いていたけれど、至れり尽くせりで、みんな親切に教えてくれるんですね!自ら納めに来た人には優しいのね。
 還付してもらうにしろ、納めにくるにしろ、そもそも仕事の稼ぎがなければ税務署に足を運ぶ必要すらないわけで、来年度もまたここへ来れるといいなあ…と出口で感慨にふけったり(通行の邪魔です)。一冊本を出せるか、原稿料いただけるようなお仕事が入るといいなあ…。でも焦りません。小説家は稼いでる額で決まるんじゃない、魂で決まるんだ、と、言ってみたり。食うほうは塾のほうで、なんとかどうにか。
 しかし、今日は寒かった。寒すぎて頭が痛くなるほどだった。でも、電車の窓から梅の咲いているのを発見したりして、春がちゃんと来ているのだなと思う。春はすごいよね。毎年必ず来るものね。
 ここずっと狂ったように本を読みまくっている。本は読みすぎると体の毒になるだろうか。過食症ならず、過読症なんてあるのだろうか。書けないまま1日が終わるのが怖くて、本にすがりつく。読むことも小説家の仕事だと思って、読み続ける。読むことは書くことより楽だ。でも、書いたものならそれがよいか悪いか、本物か偽物か見極められるというのに、読むほうは果たして本当に正しく読んだのか、身についたのかが分からない。少しも栄養にならずに、体内をざあざあと通過して下痢しているだけかもしれない。それとも過度に摂取しすぎてぶくぶくになって身動きが取れなくなっているのかもしれない。でも分からない。読むスピードが人より早いことを誇るべきかも分からない(便利だけども)。ちゃんとまっさらな状態で本に向き合えているか、傲慢に見下して、いろいろなものを見落としてはいないか。上澄みだけの楽しみを次々とこなしているだけになっていないか。
 ときどき立ち止まって深呼吸をする。読書の記録を、読んだ足あとを振り返る。それから、目の前の本を、書くように読む。