「新聞読まないんです」

 引越しすると次々と新聞屋さんの勧誘が来る。今どこ取ってるの? サービスするからうちにしてよ。とか何とかいろいろ言われるんだけど、「あ、わたし新聞読まないんです」って言ったら、ちょっと悲しそうな顔して、ああそうですか、それじゃあ仕方ないですね、と、案外あっさり引き下がる。そんな悲しい顔してあっさり納得されたらこちらも申し訳ないじゃないか。新聞読まないなんて、無教養な!新聞を取ってこそ一人前の社会人ってものだろう!…とか何とか、説教してくれても構わないのに。というか、実際、わたしは新聞を取っていないということが後ろめたくてしょうがない。じゃあ、取ればいいって言われるけれど、取ったら取ったで読まずに溜まっていくから、それはますます後ろめたい。
 そんな後ろめたさいっぱいで「新聞読まないんです」って言って、あっさり引き下がられたときの心境たるや!ちょっと!見捨てないで!と、自分から断ったくせにすがりつきたくなる。なりませんか?
 しかしまあ、どの新聞屋さんもこのセリフを言えばあっという間に諦めてしまうということは、よっぽど言われ慣れてるんだろうか。勝手に若者代表して申し訳ない思いでいっぱいで、「ネットばかりしてるんで…」と余計なことまで付け加えてしまう。何でしょうね、この後ろめたさ。月4千円とか払うくらいなら好きな本4冊買いたい。
 で、後ろめたいので図書館に行ったときは、ぱらぱらと新聞をめくるようにしています。新聞なんて1社を定期購読してたら他を読まないけれど、図書館ではそのときそのとき開いてるものをぱらぱらと読むので結構社によって違うんだなあと思ったり。作家のエッセイやら連載小説やら書評やら、結構いろいろ載ってるんだなあ。新聞って作家の飯場じゃないか。新聞衰退して大変そう…とか思ってたけど、他人事じゃない。
 ところで産経新聞関西版の夕刊の火曜日で作家・宮木あや子さんのエッセイ連載が始まりました。ファッションに関するあれやこれや。うんちくじゃなくて主に消費欲望部門。同じ夕刊の金曜日には芥川候補にもなった純文学作家の藤野可織さんのフォトエッセイも載っております。視点が細かくてどきどきする日常のエッセイ。
 と、縁あってお会いしたことあるお二人なので紹介してみました。産経新聞夕刊を取ってる関西の人は、注目してみてくださいな。どちらも面白いですよ。
 わたしもお二人と同じとこに載りたいなあ。ようし、原稿を送りつけよう。読者投稿欄に。