「フラニーとゾーイ」

 本バトンなどというものを書いたあとで、「こいつは今までの人生でベストにラブな小説かもしれない!」な作品に出会ってしまった。ご存知、サリンジャーの「フラニーとゾーイ」。

 サリンジャーって、なんでこんなに若々しくて生き生きとした会話文が書けるんだろう。この話は、ある兄妹の物語。フラニーが妹で、ゾーイがお兄さん。なんか読んでたら、ああフラニーってわたしそっくりだわっ!!と思ってしまった…。まあ、フラニーは美少女らしいのでそこは差し引いて。太宰治の「人間失格」も、それを読んで「これは自分のことを書いている」と思う読者がたくさん現れるとか。そういう小説っていい小説なんだと思う。ほんとうに好きな小説は、恋みたいなもので、優れてるとか秀逸だとか技術だとか客観的な評価はできなくて、読んでる自分にとって読みたいことや聞きたいことや会いたい人がいっぱい書いてある小説だと思う。親友のような、恋人のような自分にぴったりな小説との出会いは、人と人との出会いと同じ、人生の宝物。

 この作品に出会えた偶然に感動した。わたしにとってすごくよいものが、小説という形をとってて、未熟ながらもわたしは小説という表現手段を持っている偶然(もしくは必然)に有り難さを感じた。 わたしは小説というエンターテインメントに惚れ込んでいて、それに一生をかけたいとはっきりそう思った。才能がなくても成せなくてももう惚れてしまったんだから仕方がない。ほかのものじゃ駄目なんですよね。もうこれ恋だからね。