知らないことばかりだ

 今日で京都フラワーツーリズム協議会の企画用の観光地取材を一旦終えました。これからは観光シーズンになって、取材しにくくなるので秋が来る前に集中的に取材しました。京の世界遺産17ヵ所のうち二条城以外をコンプリート。あとは主要な観光地や、恋物語の舞台になりそうな場所を、京都検定一級の観光タクシードライバー中井さんのガイドと運転によって回りました。
 今までわたしは「説明」を毛嫌いしてた。説明や先入観なしに、その場所の雰囲気を感じ取らないと物語が死んでしまう、と思いこんで、ガイドやらパンフレットやら歴史やらには、すべて耳をふさいできたような気がする。でも、今回、由来の解説や複数の寺社の歴史的なつながりや背景が分かることで、行ったことある場所でも全く違う場所に見えたりした。
 取材ということで必死に聞いてたのもあるし、中井さんの説明がうまかったのもあるし、集中的に回ったのでつながりが理解しやすかったのもあるんだけど、でも、深く知っていくことで、自分ひとりでは生まれなかった物語が生まれてくるような気がした。他の人とコラボレーションすることで自分にない力を引き出してもらえることがあるけれど、その感覚に近い気がした。
 取材は終わったけれど、勝負はこれから。あらゆる角度から物語の糸口を見つけていく。そのためには、またさらに調べる日々なのだけど。主な読者は、小学生という、わたしにとっては新しい挑戦です。数人の知り合いのお子さんに、今出来ている何作かを読んでもらった。面白そうに読んでたよ、とメールをもらった。もっと読みたい!という、お手紙をもらった。初めての読者に、ちゃんと届くか不安だったので、泣くほど嬉しかった。この嬉しさのためだけに、わたしは小説を書いているんだと思う。
 ところで、観光タクシーでの観光、本当すばらしかったです…。もちろん今のわたくしの身分では、自腹では、ためらう金額ですけれども、でも数人で乗って割り勘ならありかな。バスを待ってたら数箇所しか回れなくても貸切タクシーなら並ぶ必要も、バス停を探す必要もなく、お任せでさくさく回ってくれるし、経路のアドバイスもガイドもしてくれる。質問したら、寺社の由来から寺同士のつながりから、おすすめの食べ物から、観光裏話から、何でも答えてくれる。かけがえのない京都体験をしました。感謝感謝です。この体験を伝えられるよう、がんばって物語をつむぎます。