展示「山村美紗の世界」

 京都伊勢丹7階の美術館でやってる「山村美紗の世界」に行ってきました。二時間サスペンスドラマの原作でもおなじみのミステリー作家。1996年に亡くなられた。娘であり女優であり山村美紗の作品ドラマに多数出演している山村紅葉さんがプロデュースしたこの展示。ミステリー小説ってあまり読まないし、テレビも見ないんだけど、小説の展示のヒントになるかなと思ってチェックしてたのでした。
 30歳頃から小説を書き始めて40歳でデビュー。365作品も書いたということで、その装丁がずらりと壁に展示してあって圧巻だった。そして、執筆部屋の様子や私生活のエピソード、生原稿、娘から見た母の話、すべてに圧倒された。ピンクが好きで使ってる原稿用紙もピンクの特注のものを作らせていたとか。赤やピンクのふりふりの豪華なドレスを着て、ほぼ24時間執筆し続けていたとか。多いときは1ヶ月800枚書いていたとか。特製のバーカウンターがあって、編集者にお酒をふるまって楽しんだとか。
「過剰」という言葉が思い浮かんだ。しかも方向性のさだまらない過剰ではなく、芯と方向性のある過剰さ。とにかく、どわー、どわーって仰天しながら見ました。ミステリーか。人が殺されるという非日常の劇的な出来事、そこに潜む愛憎劇が解き明かされていく快感、トリックを考え解き明かす面白さ、ミステリーという小説には面白くなる構造が既に仕掛けられていて、そこに何を当てはめていくかってことだから、その構造自体から考える純文学よりは大量に書けるのかもしれない。でもねえ、そんなにぽんぽんトリック考えられないよね。すごいよねー。すごいわー。
 あ、個展のヒントになったかって? 小説家を知ってもらう展示という趣旨だったので、小説自体を展示するわたしの個展とは違うんだけども、でも、いろいろ学ぶことができました。いやあ、しかし、時間がないねえ。どうしよう。

 展示本番は書き下ろしの小説を展示しますが、どうやって展示するかを悩むために、既にある文章を印字してあれこれ試行錯誤しています。そして、展示用の小説はいつもと違う書き方をする必要があるなあと気づきました。何事もやってみないと分からない。がんばるぞー。