名前を知る

 最近この花がさるすべりだと覚えた。幹がつるつるして猿が滑るから「さるすべり」という木があることは知ってて、その「さるすべり」には花が咲いて綺麗なのだ、ということも知ってた。ようやくその二つが結びついた。名前が分かった途端に、町中にさるすべりが咲いていることに気がついた。一軒家の家の庭に植えてあって、塀から零れ落ちるようにショッキングピンクが溢れかえってるし、道路の分離帯にも植えてあってわさわさとむせかえるほどの花を咲かせている。猿が滑るというへんてこな侘びた名と、真夏に咲く華やかなショッキングピンクが今まで結びつかなかった。毎年見ている光景なのに、見えていなかったんだなあと思った。漢字で書くと「百日紅」と言うそうだ。

■炎天の 地上花あり 百日紅 /高浜虚子

 さるすべりが何か分かってなかったらこの句も訳が分からないだろうなあ。

 去年は「くちなし」を認識した。くちなしの花という名前はよく聞くけど、どんなものか知らなかった。匂いがきついという話を聞いていた。6月頃、あれ、じゃあこの花?と思った白い花がくちなしだった。名前を知ると、あっちにもこっちにも植えてあった。名前を知った途端、あちこちで香りがするようになった。

 今朝はキッドで買ったレンズをつけて散歩に出かけたのだけど、腕がなくて普通にしか写らないのでつまんなくなって、また帰ってきて、パンケーキレンズ装着して再び出かける。このレンズ、3万したけど、これ買わなかったら、はまらなかったかもしれない。あぶないあぶない。今は花を撮るのが面白いです。というか、花しか撮れません。風景撮ったら普通だ。へたくそだ。
 花や木を植えている家が多いのだなあと感心する。庭に木があって、毎年、季節ごとに花や実をつけるのは一体どういう気持なんだろう。転勤族でマンション暮らししかしたことないわたしには分からない。

 まだまだ見ているようで見えていないものがあって、早くもっと世界の名前をたくさん知りたい。