NHK 芸術劇場

 最近ちょっと注目してる番組NHKの「芸術劇場」。金曜の22時25分から。ビデオに撮って、休日彼が起きてくる前に見るのです。舞台って二時間三時間かかるわけだけど、それをノンストップで見せてくれる。さすがNHK。まあオペラはさすがにはしょったりしてるけど。しっかし、このHP分かりにくすぎる!!

 http://www.nhk.or.jp/art/

 この間は、オペラ「カルメン」。オペラもいろいろ見てみたいなあと思ったものの、末席で7,000円するのでそう簡単には通うわけにもいかず、しかも末席だと人物がちっちゃくて演出の意図やらいろいろよく分からない。ふとテレビつけて、おおオペラやってる!と発見したのがこの番組でした。カルメン面白かった。ハイライトだったけど。そのハイライトで充分カルメンという女の生き様が表現されていた。カルメンというのはジプシーの女の名前。従うのは絶対嫌。命かけても嫌。自由が一番。愛に生きる。激しい魔性の女。そして物語を支配する音楽はよく知った闘牛のあの歌。オペラって人物の性格が、音楽と歌と言葉と演技で描写されるから、通常のジャンルよりオーバーに表現してあって、すごくよく伝わってくる。わたしの中にないキャラクターが生まれそうな気がする。オペラはまりそうだ。実際に見るまで、オペラって突っ立って観客席見ながら手を組んで順番に歌うのかと思ってたよ。こんなに演劇要素大きいとは…。あんな姿勢やこんな姿勢で歌わなきゃいけないわけで。しかも歌だからセリフより長いわけで感情をすごくこめなきゃいけないわけで、セリフや動作だけで拾えなかった人物像が音楽を通して直感的に伝わってくる。面白いわー。面白いわー。

 というわけで、番組表をチェックするようになりました。第4週は「劇場への招待」という番組名で舞台演劇するそうだ。22日は三島由紀夫の戯曲「朱雀家の滅亡」でした。
 とにかくシンプルな演出。登場人物も五人のみ。アクションもあまりない。喋る喋る。セリフが命。セリフに魂をもたせるのって本当に一番やりたいことだなあと思いながら見てました。ドストエフスキーとか読んでたら、いつもそう思う。内容にはっとさせられて、時代背景や登場人物の性格が伝わってきて、人間関係やいろいろな駆け引きが伝わってきて、緊迫して、次がどうなるのかはらはらさせられるセリフ、そんなものが書けたら物語が途端に温かい息をした生き物になる。いいセリフを喋らせるには何より、作者自身の人生哲学が必要なんだと思う。三島が喋る。いっぱい喋る。

 来週は文楽曽根崎心中」だって。文楽って見たことない。人形がリアルに動くんだよね…と言うことしか知らない。曽根崎心中も知ってるようで知らない。どんなものかひととおり見てみたい、と思ってたわたしにはぴったりの番組発見でした。

 そういや大阪の梅田から歩いたところに曽根崎心中の舞台になった神社があるんだけど、そこの商店街には文楽の人形の絵がいっぱい掲げてあって、結構不気味。しかもその神社、縁結びの神社なんだって。結ばれても心中しちゃうんじゃ、ちょっと…。一緒にいた方が「結んじゃいけない縁も結ぶんじゃない?」と言ってました。…怖いし。カップルがいっぱいお参りにきておりましたよ。高いビルディングに囲まれた、不思議な空間の神社。もう一度一人で行ける自信はないです…。