3600円

 本屋に行くと春樹の新刊「1Q84」が平積みされていた。以前立ち読みで、主人公の女性の名字が青豆というとこまで読んだ。変な名前で人生めんどくさい。普通の名前だったらどんなに気が楽かと書いてあった。分かるよ!その気持ち!
 そして、今日は三分の一を立ち読みしてしまった。芥川賞を美少女女子高生にねらわせようとしてたり、青豆さんの職業があれだったり、日本が舞台だし、俗なところを突いてきていて、でも春樹が書けば俗にならない。丁寧できれいで正確な美しい文章だと思った。念入りな描写。それでいて俗なアイテム。先が気になるストーリーだった。
 外国に住んでいる春樹は、なぜこんな材料を選んだのだろう、と気になった。春樹は日本のメディアには一切出ない。なのに、こんなに現代の日本的な何かが小説の中で語られいる。一方的に送られてくる手紙のような感じがした。悪い意味ではない、外からしか書けない物があるのだろうと思った。
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のときみたいな期待が漂う。上下巻で3600円は高いか、安いか。数年たてば、図書館で読むことはできるだろう。でも、今のわたしが読むべきなんじゃないかなと思った。今、これを多くの人たちが読んでいる。じゃあ、書き手として、これを読んだことをふまえて次を書くべきなんじゃないか。
 3600円って、安いワンピース一枚分じゃないの!飲み外食一回分じゃないの!CDアルバムくらいの値段じゃん!と、思うのだけど、やはり本ってなかなか買えない。
 とか言ってないで買おう。今決めた。そういえば、バーゲン、今年はまだ何も買ってないです。